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米国感染症学会の季節性インフルエンザ診療ガイドライン

タミフルは症状を1-2日早く和らげるだけだから備蓄は疑問、寝てれば治る―などと公言する人は、あくまで健康人の立場だけでものを見る人です。インフルエンザの苦しみなどたかが1-2日我慢しろ、と言っているに等しく、それが100万人、200万人になったときの損失(その間の働き手の不足、経済活動…)に考えが至らない人です。他人の痛みには鈍感な人たちなのだとも言えます。以下は米国感染症学会のインフルエンザ診療ガイドラインからの抜粋です。集団発生すれば少なくともハイリスクの人たちにはタミフルなど抗ウィルス薬が必要なわけですから、それだけでも備蓄に意味があると思いませんか?


Scott A. Harper, John S. Bradley, Janet A et al. Seasonal Influenza in Adults and Children—Diagnosis, Treatment, Chemoprophylaxis,
and Institutional Outbreak Management: Clinical Practice Guidelines of the Infectious Diseases Society of America. Clinical Infectious Diseases 2009; 48:1003–32
(全文)


表3 インフルエンザ感染による合併症のリスクが高く、抗ウィルス薬の投与を考慮すべき人

・ワクチン未接種の12-24ヶ月幼児
・気管支喘息あるいは小児の嚢胞性線維症、成人の慢性閉塞性肺疾患(COPD)など慢性肺疾患を有する人
・血行力学的に有意な心疾患を有する人
・免疫不全症患者あるいは免疫抑制薬を投与されている人
・鎌状赤血球症やそのほかヘモグロビン異常症の人
・関節リウマチや川崎病患者など長期にわたるアスピリン投与を必要とする人
・慢性腎機能不全のある人
・担癌患者
・糖尿病など慢性代謝性疾患を有する人
・気道排泄機能に障害を伴いうる神経筋疾患、けいれん性疾患、認知機能障害を有する人
・65歳を越える老人
・介護施設そのほか長期療養施設に入っている人(年齢にかかわらず)

p. 1020 ”Oseltamivirtreatment, even when delayed, has been associated with improved survival in patients with influenza A (H5N1) illness, many of whom have presented with viral pneumonia [8].”
投与が遅れたとしても、オセルタミビル(タミフル)投与はH5N1インフルエンザの生存率改善と関連した。患者の多くはウィルス性肺炎にかかっていた。
by doopylily | 2009-05-01 14:07


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