日本の新聞の科学報道のレベルは超低くとてもいい加減なのでいつも原典にあたることにしている(→Nature オンライン先行出版での当該記事)。
これのタイトル”Identification of the transforming EML4–ALK fusion gene in non-small-cell lung cancer”から判るように、キモはEGFR変異とは異なる遺伝子異常(EML4-ALK融合)が臨床例において発見されたことであって、4/5が喫煙者で、喫煙者での発癌に関与したという点にはない。そもそもこのデータからはそんなことはとても証明できない。喫煙と肺癌の疫学的な関連は既に明らかで、喫煙率を減らして行く必要があるのは自明だ。なのに、4人に5人が喫煙者だったから(そもそも肺癌患者集団から抽出しているのだから当たり前といえば当たり前の数字)これが喫煙者の発癌に関係してる!!とか煽るんじゃないよ。記者が不勉強で、発表内容をそのまま右から左へ流すだけの典型的なクズ記事だ。 <肺がん遺伝子>自治医大などが新発見 早期診断に朗報か [ 07月12日 10時26分 ] 毎日新聞社 ”喫煙者の肺がんの細胞から、肺がんを引き起こす新たな遺伝子を、自治医科大などの研究グループが発見した。グループは、喫煙が原因でできた異常な遺伝子とみており、新たな治療薬や診断法の開発につながる可能性がある。12日付の英科学誌「ネイチャー」(電子版)に掲載された。 肺がんは日米でがんの死亡率の1位。EGFRと呼ばれる遺伝子の変異が関係しているとされるが、この遺伝子変異は非喫煙者に多く、喫煙者の肺がんに関与する遺伝子は分かっていなかった。 グループは、喫煙歴のある肺がん男性患者のがん細胞から多数の遺伝子を採取し、正常な細胞を使って実験、がん化を進める遺伝子を探した。その結果、「EML4」と「ALK」という二つの遺伝子が半分ずつ融合した異常な遺伝子を発見。マウスを使った実験などから、この遺伝子が、がん細胞を無制限に増殖させる酵素を作り出すことを突き止めた。 この遺伝子を他の肺がん患者75人で調べたところ、7%にあたる5人から見つかった。5人のうち喫煙者は4人、非喫煙者1人だった。 グループの間野博行・同大教授は「この遺伝子の有無は痰(たん)の検査で調べられ、早期診断に応用できそうだ。この遺伝子の働きを抑える物質が見つかれば、新たな治療薬の開発にもつながるだろう」と話している。【下桐実雅子】”
by doopylily
| 2007-07-12 13:54
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